松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.32‐子どもの信念システムはどうやってできる?~子どもの健全なライフスタイルの形成①

こんにちは。3つのよいことノートです。

3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、先日、私の誕生日に多くの友人がSNSを介してお祝いのメッセージを寄せてくれたことでしょうか。いくつになっても誕生日の祝辞は嬉しいものです。

頑張ったことは、前週に引き続き家族の深刻な課題に関して、何とか好転するように尽力したことでしょう。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、「3つのよいことノート」に関して多くの方々から関心を持っていただき、そのような機会が得られたことでしょうか。ますます「3つのよいことノート」が普及し、多くの子どもさんとお母さんお父さんの自己肯定感と幸福感が高まることを願ってやみません。

ライフスタイル≒信念システムは私たちの習慣や行動を決定する

前回のブログでは、子育ての大きな2つの目的、「健全なライフスタイルの育成」、「人生の課題(ライスタスク)に向き合う勇気の育成」について記しました。そして、「健全なライフスタイルの育成」とは、ひらたく言えば、「本物の自己肯定感と自己効力感とそれに基づく自己イメージの育成」であり、「ライフスタイル」とは、現在の自己イメージという信念、世界観という信念、未来の自己イメージという「信念システム(ビリーフシステム)」と記しました。覚えていらっしゃいますでしょうか?

3つのよいことブログNo.31‐子育ての本当の目的

私たち人間は、自分の心の中に作られた(自ら作った)「信念システム」に従って行動しています。「信念システム」が私たちの行動を決定します。私たちの普段何気ない習慣や行動様式、心構えを決定するのです。たとえば、ちょっとした合い間にカフェを訪れて飲み物を注文するとき、無意識に「ホットコーヒー」とか、「アイスコーヒー」とか、あるいは「カフェオレ」、「ミルクティー」、「アイスティー」などを決められると思いますが、このような普段の何気ない習慣や行動様式も、私たちの「信念システム」によって決まってくるのです。

信念システムは過去の情動記憶によってつくられる

私たちの習慣や行動様式を決定づける「信念システム」は、どのように形成されるのでしょうか?

それは、過去にその人が経験した情動記憶によって形成されます。情動記憶とは、文字通り、情動(emotion)を伴った記憶、つまり強い感情が起こった経験の記憶ととらえてください。たとえば、子どもの頃、何か失敗をやらかして他人に強く叱られたり怒鳴られたりして恐怖を感じた経験とか、家族から虐待や無関心な対応を受けて恐怖や不安、悲しみといった強いネガティブ感情を起こした経験などは情動記憶となります。

ネガティブ感情が発生するような失敗体験だけではなく、高揚感や喜び、希望、感謝、愛情などのポジティブ感情を起こす成功体験も情動記憶として残ります。たとえば、子どもの頃、親孝行や祖父母孝行をして親からほめられ、嬉しかった経験や、一生懸命に練習を頑張って、習い事の発表会やスポーツの大会で好成績を収め、達成感を感じた経験なども情動記憶として残ります。

私見を申し上げれば、ポジティブ感情を起こした成功体験が情動記憶として残ると、それによって形成された信念システムは、その人のその後の人生において、良い成果をもたらす可能性が高いと思います。一方、特に恐怖や不安といったネガティブ感情を起こした失敗体験が情動記憶として残ると、それによる信念システムは、その後の人生によって、良い成果を妨げる可能性が極めて高いと思います。

どうして成功体験の情動記憶が人生において良い成果をもたらし、失敗体験の情動記憶が良い成果を妨げるのでしょうか?それはおそらく、成功体験の情動記憶の積み重ねとそれによる信念システムが、「しなやかマインドセット」を形成し、失敗体験の情動記憶による信念システムが、「こちこちマインドセット」を形成するからと考えています。

前回のブログで、10歳までに形成された「ライフスタイル」を変えることは難しいと記しました。「ライフスタイル」は、信念システムを含む概念なので、一度形成された強固な信念システムを変えるのは難しいです。ご本人が意識して、強い意思を持たなければ変えることができないと思います。

私は仕事でさまざまな方のレジリエンストレーニングを行います。トレーニングメニューの一部にネガティブ感情をコントロールするワークを取り入れています。それは、ネガティブ感情を起こした出来事への、その人の捉え方、認知、思い込み(いわゆる信念、ビリーフ)を変換する(ビリーフチェンジ)方法なのですが、物事を悲観的に見るといったネガティブな信念システムを持つ方がまれにいらっしゃることがあり、どうしても出来事の肯定的な側面を見出したり、否定的な側面の別の視点を捉えたりすることができず、「どうやってもネガティブな意味しかないと思います!」と断言する方がいらっしゃいます。この例などは、心にこびりついた強固なネガティブな信念システムが、強固な「こちこちマインドセット」(固定思考)を生み出し、結果的に、物事を柔軟に捉えることができず、良い成果を妨げる例なのではないかなと思います。

ただし、この例のような大人の方も、本人が強く望めばご自身の信念システムを変えることはできます。

幼児期の情動記憶は親(特に母親)の影響を強く受ける

幼児期の子どもさんの信念システムを形成する情動記憶は、最も身近に接している大人、つまり親(特に母親)の影響を強く受けます。なぜなら、幼児期の子どもの感情のコントロールは、親の対応や行動によって決まりますし、情動が起こる出来事への子どもの捉え方には、それに対する親の反応が強く影響します。たとえば、子どもが何か行動を起こしたとき、お母さんが悲しげな表情を浮かべたり、怒ったりしたとき、子どもには、「この行動は悲しいことなんだ」、あるいは「お母さんを怒らせるダメな行動なんだ」という情動記憶が生まれます。その逆もしかりで、子どものとある行動に対して、お母さんが喜んだり、子どもさんをほめたり、ありがとうと感謝の言葉をかけたりすると、子どもさんには「これはお母さんが喜んでくれる良いことなんだ(自分も嬉しいことなんだ)」という情動記憶が残ります。

つまり、生まれたばかりの0歳児から5歳の子どもの幼児期は、子どもは親を見ていないようでしっかり観察し、親の情動・感情のクセ、思考や捉え方のクセの影響を受け、真似ることもします。親子で性格が似るというのは、遺伝的な要因ももちろんありますが、それに加え、情動記憶が似てくる、信念システムやライフスタイルが似てくるということなのです。

たとえば親から「もし左の頬をぶたれれば、相手の左の頬を10倍ぶって仕返ししなさい」といったような、およそクリスチャンの方が聴くと卒倒しそうな教育を受けた子どもは、「やられたらやり返す!10倍返しだ!」といった半沢直樹も真っ青な信念システムが形成され、大人になっても他者に好戦的で攻撃的な性格になってしまいます(何を隠そう、かつての私がそのような性格でした。現在はビリーフチェンジして信念システムを書き換えていますので、ご安心を。)

子供に良い成果を生み出す情動記憶を残すには

成功体験からもたらすポジティブな情動記憶が良い成果を生み出す信念システムを形成します。そして、幼児期(0歳~5歳)の情動記憶は、良しにつけ悪しきにつけ、親から多大な影響を受けます。

それでは、親としてどのように幼児期の子どもにふるまえば、子どもにポジティブな情動記憶を残すことができるのでしょうか?

それはいくつか方法があり、おさえるべき大事なポイントがありますが、第一には、

親は幼児期の子どもにとっての安心安全な場所となること」を心がけることです。つまり、子どもさんが「お母さんお父さんといるときはとても安心で心地よい」と感じさせる空間を日ごろからつくることです。当然ながら、子どもに日ごろからガミガミ叱っていると、子どもは安心安全な場とは感じません。というか、ガミガミ叱られている状態がいつの間にか心地よい状態と勘違いしてしまいます。

もう1つは、「親は子どものポジティブな手本となること」です。子どもは親を真似て成長します。親の情動のクセ、行動のクセが無意識のうちに子どもに映っていきます。ですので、子どもの前では、親も決してネガティブで消極的な態度はとらず、いつも笑顔で、自己肯定感を高くもちながら明るくふるまうことが大事です。

さらに、「子どもの成功体験は惜しみなくほめること」。そして、「子どもの失敗体験を叱らず攻めず、承認したのち成功体験に転換できるよう一緒に考えること」が大事です。

「子どもをしつけるには、子どもがいけないこと、やらかしちゃったこと、失敗したことを叱っていさめてしつけ、教育しなければならないでしょう。失敗を承認してたらしつけにならないじゃないの」と思われた方がいらっしゃったら、「子どもをしつけるには失敗を叱らなければならない」という強い信念システムに囚われていると思いますので、ご用心。

一緒に毛布にくるまる母子

子どもにポジティブな情動記憶を残す方法と親が取るべき行動について、次回のブログではもう少し詳しく踏み込んで記したいと思います。

3つのよいことノート」は、親子で一緒に使うだけで、子どもさんのポジティブな情動記憶を生み出し、ひいては子どもさんの健全なライフスタイルの確立に役立つように作られています。一度、お使いになってお試しいただくことをお薦めします。

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