こんにちは。ハピネスノートです。
ハピネスノートが綴る「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。
さて、最近の「3つのよいこと」。
嬉しかったことは、10数年ぶりにご縁のあるプロテスタントの教会の日曜礼拝に訪れると、牧師の先生が覚えていてくれて大歓迎してくれたことですね。洗礼を受けていないクリスチャンでない私を心から歓迎してくれ、美味しいコーヒーとお菓子でもてなしていただいて本当に嬉しく思います。
頑張ったことは、この1週間、新しい本の構想を練るため、参考文献を20冊近く耽読したことでしょうか。苦手とする哲学的な本を多く読み、良い企画が生まれそうです。
ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、私や家族の悩み、課題について、公共機関のさまざまな方々が親身になって考えてくれ、適切な助言をいただいたことでしょうか。私的な内容なので詳細は記せませんが、解決策を見つけ出せそうになりました。
子どもに目的意識がないと嘆くお母さま
今回のブログからしばらく、グリットを高める4つのステップ興味⇒練習⇒目的⇒希望のうちの3番目のステップ「目的」について書こうと思います。
先日、滅多に見ないテレビを何気なく観ていると、視聴者からのお悩み相談のようなコーナーがあり、司会者の某テレビ局アナウンサー、とあるお寺の僧侶であり宗教学者のコメンテーター、ご主人が人気お笑い芸人で、自身も著名な女性タレントさんが、視聴者からのお悩みに答えていました。
その中に、高校受験を控える男子をもつお母さまからの次のような悩みがありました。
『うちの子は高校受験を控えているのに進路を聞いても、「別に行きたいところなんてない」、「将来なりたいことってない」なんて言っています。子どもに目的を持たせることはできないのでしょうか?』
この悩みに対して、女性タレントは、自身の次のような経験談を語りました。
『私は15歳から今の事務所に入り、タレント活動を始めたのですが、最初は目的意識というものがなく、周囲に流されるようにタレント活動をしていました。初めて間もないころ、豆乳のCM撮影のお仕事がきて、撮影終了後、そのメーカーのいろんな種類の豆乳をいただいて帰宅したのです。そしたら、家族、特にお母さんが大喜びして、自分もとても嬉しくなったことがありました。そのとき、「あっ、私は、他の人が喜ぶことが好きなんだ。他の人、特にお母さんの喜ぶ顔が見るのが好きなんだ」と気づいたのです。だから、それを目的にタレント活動をしようと思い、今に至っています。』
そして、僧侶で宗教学者の男性コメンテーターは、
『何も若いうちから1つの目的を見つけなくても良いんじゃないでしょうか。何か大好きなこと、興味あることをいろいろやってみて、そこから目的をゆっくり見つけてもよいと思います。大事なのは、親の価値観で子どもの目的を決めつけない、押し付けないことです。子ども自身に目的を探させ、決めさせるのが大事だと思います』
いすれの回答も、適切な回答じゃないかなあと思いました。中学生の段階で自分の目的は何かと言われてもなかなか見出せないし、答えられないでしょう。ましてや小学生の段階ではなおさらです。もちろん、早くから自分の目的を持っている子どもさんもいます(とてもグリットの高い子どもさんです)。ただ、多くの子どもさんは、まだまだ目的を意識できないと思います。そんなときは、女性タレントのように「自分が大好きなこと、嬉しいこと」をまずは発見し、そこから目的を見出してもよいですし、僧侶の言うように「興味のあること」をいろいろやってみて、ゆっくり目的を見出してもよいかと思います。
目的とは何か?-目的と目標の違い
そもそも目的って何でしょうか?
よく言われる目的と目標の違いとは、どのような違いなのでしょうか?
「目的」も「目標」も、目指すものを意味することでは同じですが、「目的」は、目指す的(まと)と書くように、「目標」よりも抽象的で長期的な目指すものであるのに対し、「目標」は、具体的で、ある地点までにたどり着くまでの短期的な目指すもの、目指す標(しるべ、しるし)を言います。
もっと簡単に言えば、何かを成し遂げるときの最終ゴールが「目的」であって、その最終ゴールに至るまでの途中段階の小ゴールが「目標」と考えてもよいかもしれません。
人生の最終ゴールが「目的」とすれば、小学生や中学生の段階で「目的」を持てないのも無理のないことなのかもしれません。大人だって本当の意味での「目的」を持てない人もいるのですから。
小学生や中学生が「目的」を持てないのは無理のないこととしても、ぼんやりとした最終ゴールに至るまでの小さな「目標」を立てることはできると思います。自分の大好きなこと、心の底から興味のあることを発見し、それに対する小さな目標を立て、それを目指す行動を続けていくうちに「目的」が見いだされることもあるかと思います。
人間のすべての行動には目的がある
小学生や中学生が「目的」を持てないのは無理のないことと書きましたけども、個人心理学者のアルフレッド・アドラーからすれば、そのような考え方は矛盾することになります。
アドラーの心理学は、「人間の行動には全て目的がある」という目的論をとります。ですので、「目的」を持てない状態、進路が決まらない、将来なりたいことがわからない(だから今は何もしない)という行動や状態も、その人にとって、何らかの「目的」があって、そのような行動なり、状態を作り上げているということになります。
たとえば、先ほどの高校受験を控えた中学生が「将来なりたいことってない」という状態を例に考えますと、目的論ではなく原因論からすれば、まず、「何が原因で将来の進路や目的がないのだろうか」と考えます。すると、原因として、子どもの性格、親の育て方、周囲の環境、学校での人間関係、教師の指導など、さまざまなものが挙げられます。
原因論の立場から、この例の子どもに将来の進路を(自主的に)決めさせるには、取り上げた原因ひとつひとつに対処し、解決しなければなりません。それはとても大変なことですよね。
ところが目的論の立場から考えると、「将来なりたいことってない」という状態を続ける何らかの目的があって、そのような状態を招いていることになります。
では、どのような目的が考えられるでしょうか。例えば、「将来チャレンジしたいことがあるけど、失敗するのが不安なため、あえて将来を決めない」という目的や、「今は将来のことを考えずにのんびり過ごしたい」という目的や、あるいは、「将来の進路を決めたら親がうるさいので、今は決めずに親を困らせたい」という目的もあるかもしれません。
目的論の立場から、このような子どもに将来の進路を自主的に決めさせるには、想定される目的ひとつひとつに対処する必要はありません。なぜなら、当人にとって目的は1つであり明らかだからです。
それよりも、その目的とは異なる、その人(の性格や強み)にとってより健全な、より最適な新しい目的を設定させれば解決します。その新たな目的を達成させる行動に導けばよいのです。それが目的論的なアプローチになります。非常にシンプルですよね。このアプローチこそが、アドラー流のカウンセリングの柱となるコンセプトになります。
まずは大好きなこと、それに関する小さな「目標」をもつこと
もし、子どもさんが「将来なりたい夢」や、そうなりたい「目的」が見出せないとき、その原因を探るのではなく、また、無理に「目的」や「将来の理想像」を立てさせようとするのではなく、まずは、
「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を見つけ、それに関する小さな「目標」(ゴール)を自主的に立てるように促してください。小さなゴールを立てていけば、いずれいつの日か、自分が本当に目指したい「目的」(最終ゴール)を見出すことができるようになると思います。

「3つのよいことノート グリットup」では、グリットを高める要素である「目的」を設定できるように、まずは自分の大好きなこと、ワクワクすることをリストアップし、そこから1年の目標、1か月の目標、1日の目標のように小さなゴールを設定して、目的意識を高めるように工夫し、構成しています。
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次回のブログも、「目的」の立て方について、記したいと思います。