3つのよいことブログ

3つのよいことブログNo.24‐子どものユーダイモニズムが芽ばえるとき

こんにちは。ハピネスノートです。

ハピネスノートが綴る「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

ようやく春めいた気候になってきましたね。

年明けからオミクロン株の感染拡大騒ぎが続いていたので、いつも以上に冬が長く、春が待ち遠しく感じられたかもしれません。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、クライアント企業の担当者と今期の仕事の打ち上げ(納会)をしたことでしょうか。ポジティブ心理学ベースの研修に関して貴重なフィードバックもいただき、とても美味しいお酒を酌み交わすことができました。

頑張ったことは、4月にリリースする予定の「3つのよいことノート」新シリーズ(中学生版)のデザインに関して、デザイナーさん、アドバイザーさんと有益な意見交換をしたことでしょうか?今までのシリーズよりもさらにクオリティが向上したノートになるかと自負しています。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、4月からの「3つのよいことノート」のプロモーションに関して、さまざまな方々からサポートをいただけることでしょう。コロナ禍によって「3つのよいことノート」の普及も停滞気味だったのですが、春の訪れとともに回復しつつあります。新シリーズも加えて更に普及を加速していきます。

「自分が大好きなこと」から、「自分も嬉しいし、他人も喜ぶこと」に変わるとき

前回のブログは、子どもさんに目的意識を持ってもらうには、「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を見つけ、それに関する小さな「目標」(ゴール)を自主的に立てること。そうすれば、いずれいつの日か、自分が本当に目指したい「目的」(最終ゴール)を見出すことができるようになると書きました。覚えていらっしゃるでしょうか?

3つのよいことブログNo.23‐大好きなことを見つけること。人が喜ぶことを見つけること

そして、「自分の大好きなこと」を行っている子どもさんが、それが「他人に役立つこと」、「他人が喜んでくれること」に変わると、さらに目的意識が高まってきます。

アドラー心理学の考え方で言うと、子どもさんの成長過程において大事なことは、“自己中心性からの脱却”ですので、「自分の大好きなこと」を見つけてそれを継続した子どもさんが、「自分も大好きで嬉しいし、他人も喜んでくれること」に目的意識が変わっていけば、共同体感覚が身に付きつつあり、自己中心性から脱却するシグナルかと思います。

アドラーの説く共同体感覚は、アドラー心理学の重要な概念ですが、説明すると長くなり難しいので、別の機会に記したいと思います。

幸福を追求する2つの方法

私たち人間の多くが、人生の目的として「幸福になること」を挙げるかと思います。幸福を求めない、不幸を追求する人は、滅多にいないと思います。

心理学では、幸福を追求する方法には2つあると言われています。

それは、古代ギリシャの哲学者、アリストテレスが最初に説いています。2つの方法の1つとは、「利己的な目先の快楽を追求する方法」で、これはヘドニズムと呼ばれています。もう1つの方法は、「内なる良い精神と調和する方法」、または、「意義ある目的を追求する方法」で、これはユーダイモニズムと呼ばれています。

アリストテレスの幸福追求の方法に対する見解は明白で痛烈です。ヘドニズムは原始的で野蛮であり、ユーダイモニズム的な生き方こそ、高貴で純粋であると主張しています。

このような話を友人とすると、「人間は楽しいことを追求してはいけないのか?快楽を求めてはいけないのか?」と反論されたことがあります。もちろんそんなことはありません。人間が生物学的な快楽を追求しなければ、ヒト(ホモ・サピエンス)という種がここまで繁栄しなかったでしょう。ですので、ヘドニズムは否定されるものではなく、必要な概念なのですが、ヘドニズムだけを追求すると、深い幸福感は得られないと思います。人間は、ヘドニズムだけではなくユーダイモニズム的な生き方をしたからこそ、高度な文明を発展させたのではないかと思うのです。

医学的にも、ヘドニズムではなくユーダイモニズムな生き方の方が、免疫に関連する遺伝子が活性化し、長寿になりやすいという証拠(エビデンス)があります。

子どもにユーダイモニズムは早いか?

小学生や中学生の段階で、ユーダイモニズム的な幸福を追求するよう促すのは早すぎるのではないかと思われるかと思います。至極ごもっともで、子ども時分、特に小学生の段階では、まだまだ「ただ自分が楽しいから」とか、「ワクワクするから」というヘドニズム的な幸福を求めるところから始めればよいと思います。そして徐々に、「自分だけでなく他の人も喜ぶから」とか、「自分だけでなくママやパパが喜んでくれるから」というように「自分が大好きなことをして他者が喜ぶこと」、「自分の興味のあることして他者に役立つこと」に、あるときふと子どもさん自身が気づけば、それが子どもさんのユーダイモニズムの芽ばえになります。

前回のブログで紹介した女性タレントのデビュー当時の、豆乳のCM撮影のとき、試供品の多種類の豆乳を持って帰宅するとお母さんが思いのほか喜んだときに、「自分はお仕事をすることでママが喜ぶのが好きなんだ」と気づいたというエピソードは、まさに“ユーダイモニズムの芽ばえ”ではないかと思います。

日本人の中でグリットの高いと言われる代表的な人の中には、実は小学生時代、この“ユーダイモニズムの芽ばえ”を育み、以降もユーダイモニズム的な幸福を追求する目的意識を持ち続けた人が多いです。それらは小学校の卒業文集から窺えます。

例えば、代表的なグリットの高い日本人である、本田圭佑さんの小学校卒業文集の一節、

『世界一になったら、大金持ちになって親孝行する。』

『プーマとけいやくしてスパイクやジャンバーを作り、世界中の人が、このぼくが作ったスパイクやジャンバーを買って行ってくれることを夢みている。』

サッカー選手になって、親孝行や世界中の人に影響を与えることを願望ではなく、あたかも実現しているように記しているのが印象的ですね。

続いて、羽生結弦さんの卒業文集の一節、

『ふっと気付いたら最後のポーズを終えた瞬間、大勢の観客から大きなはく手をもらいました。あの瞬間は今だ忘れてはいません。とてもうれしかったです。そして「観客に感謝したい」と初めて思いました。』

フィギュアスケートを通じて観客に感謝するということを学んだと続けています。小学生でこのような他者への感謝を学ぶ人はなかなかいないと思います。羽生結弦さんの“ユーダイモニズムの芽ばえ”ですね。

子どもさんのグリットを高めるための目的意識を持たせるには、まずは、「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を見つけ、それに関する小さな「目標」(ゴール)を自主的に立てることですが、それから1歩進んで、「自分が大好きなことをして他者が喜ぶこと」、「自分の興味のあることして他者に役立つこと」というような“ユーダイモニズムの芽ばえ”を感じさせ、周囲の大人はそれを大事に育てることが大事ではないかと思います。

ジャンプする女の子

3つのよいことノート グリットup」では、まずは、「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を見つけ、そこから“ユーダイモニズムの芽ばえ”を感じさせるように配慮し、構成しています。

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次回のブログも、「目的」の立て方について、記したいと思います。おつきあいくださいませ。