松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.29‐しなやかマインドセットが成功を呼び込む!

こんにちは。3つのよいことノートです。

3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、先日、家族の誕生日だったので、家族と友人と3名で近くのイタリアンで食事をしたことでしょうか。ワインも料理も美味しく、愉しい時間を過ごすことができました。

頑張ったことは、自身4冊目の本が校了となり、ようやく出版が近づいてきたことでしょう。脱稿したのはコロナの騒動が始まった直後の2年前で、コロナ禍の影響で遅れてしまいましたが、ようやく本になりそうです。出版社の社長には、ただただ感謝感謝です。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、ビジネスパートナーからのお声がけがあり、ビジネスの機会が広がったことでしょう。感謝感謝でございます。

「学習性楽観主義」を生む思考

前回のブログで、失敗を繰り返すと、「何度頑張ってもだめなんだ」という「学習性無力感」が発生すること、そして、「学習性無力感」は、失敗の繰り返しへのとらえ方を変える「学習性楽観主義」によって克服できると記しました。覚えていらっしゃいますでしょうか?

3つのよいことブログNo.28‐失敗は成功の母と考えられる?考えている?

セリグマンが、「学習性無力感」や「学習性楽観主義」の研究をしていたころ、心理学者のキャロル・ドウェックは、大学心理学部の学生でした。

ドウェックは、セリグマンの研究結果を興味深く感じつつも、悲観主義と楽観主義の違いはどのように生じるのだろうか?楽観的な解釈と悲観的な解釈の違いはどのように生じるのか、疑問を感じました。そして、中学生を対象に、失敗に対してとりわけ大きな「無力感」を覚えるのはどんな生徒かを調査しました。

ドウェックは、中学生を2つのグループに分け、それぞれに同じ数学の授業を行い、授業中に同じ数学の問題を解かせました。一方のグループには、授業が終わった後、問題を何問解いたかに関係なく、頑張った“ごほうび”を与えました。このグループは「成功のみのプログラム」と呼びます。もう一方のグループには、授業中に生徒が数学の問題を解いているとき、時折、教師が「今回は解けた問題が少なかったね」とか、「もうちょっとがんばるべきだったね」というような努力を促すようなコメントをかけたそうです。ごほうびは与えられませんでした。こちらのグループは「解釈改善プログラム」と呼びます。

この2つのグループのうち、どちらがやる気が高まりましたでしょうか?グリットは高まりますでしょうか?

「学習性無力感」が失敗の繰り返し経験から発生するのであれば、失敗の経験がない、ほめられ続ける「成功のみのプログラム」の生徒たちがやる気やグリットが高まるはずです。ところが、実験結果は、「解釈改善プログラム」の生徒がやる気やグリットを高まることを示しました。非常に難しい数学の問題を前にすると、「成功のみのプログラム」の生徒は、すぐに解くのをあきらめてしまいましたが、「解釈改善プログラム」の生徒たちは、数学の難問を前にしても「もっと頑張れる」と思い、粘り強く挑戦し続けました。

このことから、「学習性無力感」は、失敗の繰り返し経験ではなく、失敗に対する解釈の違い、さらには努力に対する解釈の違いが起こすことがわかったのです。

「解釈改善プログラム」の生徒たちのグリットが高まったのは、生徒たち自身が「努力は裏切らない」、「努力すればきっとできる」、「やればできる」という思考、捉え方が脳の中で発生したことが要因ですが、そのようなとらえ方を引き出したのは、教師たちの励まし、声掛け、コミュニケーションがあったことは大事なポイントです。

しなやかマインドセットとこちこちマインドセット

ドウェックはその後、研究を進め、人のマインドセット(思考、思い込み、価値観、人生観)には、大きく2つに分けられることを見出しました。

ドウェックが言う2つのマインドセットとは、1つは、「自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できる」というマインドセットです。これは、成長思考(グロースマインドセット)と呼ばれ、「しなやかマインドセット」とも呼ばれます。もう1つのマインドセットは、「自分の才能や能力は、努力をしても向上しない」というもので、これは固定思考(フィクスドマインドセット)と呼ばれ、「こちこちマインドセット」とも呼ばれます。

「しなやかマインドセット」は楽観主義と同じような役割を果たしています。そして、「しなやかマインドセット」の持つ子どもは、一般的に学業成績が良く、精神的肉体的に健康で、周囲とも良い人間関係を築く傾向が高いことがわかっています。ですので、「学習性無力感」を起こすことはありません。

ドウェックとグリット研究の第一人者であるダッグワースは、2000名以上の高校三年生を対象にアンケートを行ったところ、「しなやかマインドセット」の高校生は、「こちこちマインドセット」の高校生よりもはるかにグリットが高いことがわかりました。そして、グリットの高い高校生は、成績が良く、大学の進学率や卒業率が高いことも明らかになりました。

「あきらめずに努力を続ければ成功する」という希望を持つことがグリットを伸ばす

セリグマン、ドウェック、ダッグワースの研究は、子どものグリットを高めるには、「あきらめずに努力を続ければ成功する」という希望を持ち、そのような「しなやかマインドセット」を持ち続けることが大事だと示しています。その「しなやかマインドセット」を持ち続けるには、どのような逆境にあっても、あるいは失敗を繰り返しても、「努力をすれば成功するはずだ」、「やり方を工夫すれば状況を好転させることができる」ととらえることです。そのように考えることです。

グリットが子どもの頃から高まれば、そして高いままキープすれば、人生は成功します。バラ色です。

ただ、小学生の子どもは自分自身の力でグリットを伸ばすことは難しいです。ドウェックの研究でも明らかなように、保護者や教師などの周囲の大人の適切な勇気づけ、励ましのコメントが必要なのです。周囲の大人のグリットが低かったり、自己肯定感が低かったり、「しなやかマインドセット」ではなく「こちこちマインドセット」を持っていたりすれば、それは子どもにも反映します。また、周囲の大人が失敗した子どもを叱ったり、成績の振るわない子どもに過った励ましをすれば、グリットが高まらず、自己肯定感も高まりません。

ここで、皆様の思考が「しなやかマインドセット」なのか、「こちこちマインドセット」なのかをチェックする簡単な4つの質問を記します。以下の1番と2番の質問に対して「No」と答え、3番と4番の質問に対して「Yes」と答えた人は「しなやかマインドセット」の持ち主です。その逆は「こちこちマインドセット」の持ち主です。

1.知的能力は人間の基本的性質であり、ほとんど変えることはできない。

2.新しいことを学ぶことはできるが、知的能力自体を向上させることはできない。

3.もともとの知的能力のレベルにかかわらず、かなり向上することができる。

4.知的能力は常に大きく向上することができる。

いかがでしょうか?皆様は「しなやかマインドセット」でしょうか?それとも「こちこちマインドセット」でしょうか?

陶芸にチャレンジする女の子

次回のブログは、子どもの思考を「しなやかマインドセット」にさせ、かつグリットを高めるコミュニケーションについて記します。

3つのよいことノート グリットup」は、ノートを書き終える最終段階において、「来月に向けての希望」のページを設け、来月やってみたいことを書くことによって「希望」を高め、グリットを高めるように構成しています。

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