こんにちは。3つのよいことノートです。
「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。
さて、最近の「3つのよいこと」。
嬉しかったことは、ビジネスパートナーが「3つのよいことノート」を某大手文房具ベンダーでの社内会議で強く宣伝してくれたことですね。百万の心強い味方がいるようで嬉しさ一入です。
頑張ったことは、家族の深刻な課題に関して、何とか好転するように尽力したことでしょうか。詳しくは書けないので申し訳ないのですが、自分のことではなく家族のために費やす時間はいつもハードですね。
ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、前述した某大手文房具ベンダーでの社内会議に飛び入りで出席させていただき、展示ディスプレイの効果的な方法とか、商品開発の面で新たな気づきを得ることができたことでしょうか。文房具業界は新たな分野なので学ぶこと吸収することが多く、とても勉強になりました。
子育ての目的とは何だろう?
今回のブログから、「3つのよいことノート」の使い方やそれに関連する内容をいったん置き、子育て全般のことについて記していきたいと思います。
さて、このブログをお読みいただいている皆様は、子育ての経験を持っていらっしゃる方が多いのではないかと思います。子どもを持っていらっしゃらない方も、ご自身はご両親(特にお母さま)または大人の方から子育てを受けた経験は誰しもお持ちではないかと思います。
そこで、子育てを経験された方は、どのような目的で子育てをされていましたか?
子育ての経験はない方は、あなたを育てた方の子育ての目的って何だと思いますか?
改めてこのような質問をすると、「あれっ、なんだっけ?」と首をかしげる人も多いのではないでしょうか?あるいは、「子育ての目的って、そりゃあ、子どもが健やかに幸福に育つことでしょう」と、広く一般的普遍的(と思われる)な目的を漠然と持って子育てをし、子育てを受けた方もいらっしゃるでしょう。さらには、「自分のような人生を歩んでほしくない。だから子どもには、一流大学に入って一流企業に勤めて豊かな生活を送ってほしい」などのように明確な目的を持って子育てをされた方もいらっしゃるかもしれません。
どのような子育てであれ、私たち大人は目的を持って子育てをしています。それが漠然と無意識の中に隠れているか、明確な意識した目的として顕在化しているだけの違いです。
親(大人)として、子育ての目的を意識することはとても大事です。さらには、目的の立て方にも注意をする必要があります。それは後述しますが、良きにつけ悪しきにつけ子どもの将来に深く影響を及ぼすことになるからです。
アドラー心理学的な子育ての目的とは?
子育ての目的について、アルフレッド・アドラーの心理学を基にひもといてみましょう。以降の内容は、多分に私の私見も混じっているのでご了承ください。
アドラー心理学でよく言われる教育の目的とは、
「自己中心性からの脱却」、「共同体感覚の育成」と考えられます。
「自己中心性からの脱却」は意味が分かりやすいかと思いますが、「共同体感覚の育成」とは難しいですよね。ひらたく言えば「自分のことは大事で何事も自分で決めることが大事だけど、他者も大事で他者を信頼し、他者に貢献する気持ちを養いましょう」ということではないかと思います。それがアドラー流教育の目的です。
私は、アドラー流の教育の目的を踏まえながら、アドラー心理学的な子育ての目的は、次のようなことだと考えています。
9歳までの子どもの子育ての目的は、「健全なライフスタイルの育成」
10歳から成人に至るまでの子育ての目的は、「人生の課題(ライスタスク)に向き合う勇気の育成」
です。これもちょっとわかりにくいでしょうか?心理学の用語ってわかりにくいものが多いですよね。
「健全なライフスタイルの育成」とは、ひらたく言えば、「本物の自己肯定感と自己効力感とそれに基づく自己イメージの育成」です。さらにシンプルに表現すれば、「自分のことが大好き!」「自分はとても価値のある人」、「自分は頑張ればなんでもできる!」といった自己イメージを持つ子どもを育てることを言います。
「人生の課題(ライフタスク)に向き合う勇気の育成」とは、「成人以降に遭遇するであろうさまざまな人生の問題、課題について、それらにありのままに向き合い、自力で克服しようとする気持ち(マインド)を育てること」を言います。
後半の「人生の課題(ライフタスク)に向き合う勇気の育成」という目的はいずれ記すとして、前半の「健全なライフスタイルの育成」という目的について、記しましょう。
アドラー心理学のライフスタイルとは
「ライフスタイル」とは、アドラー心理学の重要な概念の1つです。
「ライフスタイル」を、ふつうに訳すと、「生活様式」、「人生の形式」となってしまうので、誤解を生んでしまうかもしれません。当然ながら「ライフスタイル」とは、「生活様式」という意味ではありません。
アドラー心理学でいう「ライフスタイル」とは、一般的に使う「性格」とか「人格」という意味に近いものと考えてください。ではなぜ「性格」とか「人格」という言葉にしないかというと、「ライフスタイル」には、「性格」、「人格」の他に、「人生のさまざまなことを決定する(しばる)ルール」であったり、「物事の捉え方」、「信念」、「価値観」と言ったものも含まれるので、それらを包括してアドラー心理学では「ライフスタイル」という言葉を用いています。
「ライフスタイル」には、3つの構成要素があります。1つは「自己概念(現在の自己イメージ)」、2番目は「世界観(人生観)」、3番目は「自己理想(未来の自己イメージ)」です。
「自己概念(現在の自己イメージ)」とは、「今の自分は〇〇な人間だ」という信念です。
「世界観(人生観)」は、「世界は(人生は)〇〇である」という信念です。
「自己理想(未来の自己イメージ)」とは、「私は将来〇〇になる人間だ」という信念です。
前に書きました、「本物の自己肯定感と自己効力感とそれに基づく自己イメージ」とは、「ライフスタイル」の構成要素の「自己概念」と「自己理想」が合わさったものなのです。つまり、「私は私のことが大好きだし、私は生きるのに値する人間だ」という本物の自己肯定感と、「私は将来何をするにせよ、理想の私になることができる」という自己効力感に基づく自己イメージの育成が、9歳までの子育ての目的ではないかと考えるのです。
なぜ9歳までなのかというと、アドラーは、人の「ライフスタイル」は、10歳ころにおおよそ確立すると説いているからです。これは、人の脳(特に大脳新皮質)の発達過程とほぼ合致します。
大人の価値観(信念)の押し付けに要注意!
「ライフスタイルが10歳ころに出来上がるのなら、それ以降に教育しても無駄じゃないか」と思わないでください。「ライフスタイル」がほぼ確立しても、変えることができます。出来上がった「ライフスタイルは変わらないよ」ととらえた方は、「こちこちマインドセット」に陥っているように思います。
ただし、いったん確立した「ライフスタイル」を変えるのはなかなか難しいのです。だからこそ、9歳までのしなやかな脳を持つ子どもには、健全なライフスタイルを持つように育てた方が良いのです。
「ライフスタイル」は、現在の自己イメージという信念、世界観という信念、未来の自己イメージという信念と記しました。これらは総じて「信念システム(ビリーフシステム)」と言います。
「信念システム」は、私たちの無意識下に存在するようになり、あらゆる物事への捉え方、解釈に関わります。私たちは「信念システム」に基づいて物事を認知し、判断し、行動することになります。私たちは「信念システム」という自己規律から外れた行動はほとんどとらないのです。なぜなら、「信念システム」に従う方が安全で心地よいからです(コンフォートゾーンに入っていると言います)。
「ライフスタイル」または「信念システム」は、人間それぞれ全く異なります。「性格」と一緒です。
9歳のまでに「自分のことが大好き!」「自分はとても価値のある人」、「自分は頑張ればなんでもできる!」といった健全な自己イメージ、信念システムが確立すれば、10歳以降も自分の理想像、目標に向かって行動できるグリットやレジリエンスの高い子どもが育まれますが、「自分はしょぼい人間、ダメな人間だ」とか、「自分は頑張っても大したことはできない」という消極的な自己イメージが出来上がれば、目標を掲げ、それに向かって努力し成長するような人間にはなかなかなりにくいと思います。
さらに注意をしなければならないのは、子どもさんの「ライフスタイル」の形成において、大人、特に親の価値観を押し付けないように注意しなければならないということなのです。
たとえば、前述したような、「自分のような人生を歩んでほしくない。だから子どもには、一流大学に入って一流企業に勤めて豊かな生活を送ってほしい」という明確な目的を持って子育てをされた場合、あるいは、「自分が果たせなかったオリンピック金メダルを獲得させる。金メダリストにさせる」という目的で子育てをされた場合、それが自分(親、大人)の価値観、信念を子どもさんに押し付けて子育てをしてはいないかと自分に問いかけて確認してほしいのです。
子どもさんが自分の意思で「僕の将来の夢は一流大学に入って一流企業に入ること」とか、「私の将来の夢はオリンピックで金メダルを取ること」と目的を設定すれば、問題ありません(前者の目的は個人的には変えた方が良いんじゃないの?と思いますが、子どもさんの意思であればOKとしましょう)。
子どもさんの意思ではなく、親(大人)の信念を基にした子育ての目的であれば、親(大人)の「信念システム」が子どもさんの「ライフスタイル」、「信念システム」に反映されます。親(大人)の価値観の押し付けです。
そうなると、親(大人)や周囲の反応をうかがったような判断しかできなくなり、自分らしさが失われます。その結果、将来、物事の途中で放り投げたり、早い段階でやる気がなくなったり、何かにつけて挫折を繰り返し、消極的な行動しかとれなくなってしまいます。
親(大人)も、自分の「信念システム」の範囲で子育てを含めた行動をとっているので、その「信念システム」の影響は、おのずと子どもさんには及ぶのですが、可能な限り子どもさんには、自分の意思で解釈・判断するような「“自分らしい”信念システム」を築けるように親(大人)が気を付けてほしいのです。
では、どのようにすれば子どもさんに自分の「信念システム」を押し付けずに、健全なライフスタイルの育成ができるのでしょうか?それは次回以降のブログで記したいと思います。
「3つのよいことノート」は、親子で一緒に使うだけで、子どもさんの健全なライフスタイルの確立に役立つように作られています。一度、お使いになってお試しいただくことをお薦めします。