松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.34‐どんなときでも子どもをほめる~子どもの健全なライフスタイルの形成③

こんにちは。3つのよいことノートです。

3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、先日、出版社から4冊目の著書が届いたことです。コロナの空騒ぎなどもあって脱稿から時間が長くかかってしまいましたが、ようやく出版できました。5冊目以降は、「3つのよいことノート」に関することや、ポジティブ心理学コーチングに関する本を書こうと思います。

頑張ったことは、広島某所、某企業でのコーチング研修に登壇したことでしょうか。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、4冊目の著書を、本に取り上げさせていただいた島根県の優良企業の社長様に献本したのち、その社長様からとても丁寧な御礼のお返事をいただいたことでしょうか。行間から人格の素晴らしさがわかるとても心温まる文章で、持続的に成長し続ける企業の社長とは、こうあるべきなのかと感服しました。

ほめること=甘やかせることではない

前回のブログでは、親が子どもの安心安全な基地であることが、子どものポジティブな情動記憶を残すには重要だということと、そうするには、親は、「どんなときでも子どもを信じてあげること」、「どんなときでも子どもをほめること」の2つをやるべきだと記しました。覚えていらっしゃいますでしょうか?

3つのよいことブログNo.33‐子どもの100%味方になる~子どもの健全なライフスタイルの形成②

そして、「どんなときでも子どもを信じてあげること」とは、どういうことか、親はどのようにふるまえばよいのかについても記しました。

今回のブログでは、「どんなときでも子どもをほめること」について記します。

幼児期の子どもを持つ親に、「どんなときでも子どもをほめてください」と話すと、

「悪いことをすれば叱らなければしつけにならないでしょう」とか、

「注意もせずにほめてばかりだったら、自分勝手なわがままな子に育つのではないか」といった、心配する意見を持たれる方も多いかと思います。

そのような方は、「ほめる」という行為を「甘やかせる」という行為とを混同しています。「ほめる」と「甘やかせる」は、根本的に全く異なる行為です。

そもそも子どもを「ほめる」という言葉自体、私はあまり使いたくありません。アドラー心理学のアドラー博士も、子どもを「ほめる」のではなく、「承認する」ことをすべきと唱えています。子どもを「承認する」と表現すると、わかりにくいので、今後も便宜上、「ほめる」と表現します。

それでは、「ほめる」(承認する)と、「甘やかせる」とはどのように根本的に異なるのか?

「ほめる」(承認する)とは、子どもが何らかの行動を評価する行為で、子どもが良い行動を行えば、全面的にほめれば良いのです。良い行動を行わなければ、ほめなければ良いのです。

一方で、「甘やかせる」とは、子どもの要求、わがままを受け入れる行為で、そこには行動に対する評価はありません。

良い行動をしてほめられた子どもは、「よい行動をしたらほめられる。もっと良いことをしよう」と思うようになります。そのような信念システムが形成されるのです。そうすると、そのような信念システムに基づいた行動や環境が心地よい状態となります。その結果、本物の自己肯定感や共同体感覚が備わった子どもが育成されます。

一方、ほめられずに親に甘やかされた子どもは、「自分の要求、わがままはどんなときでも通るんだ。受け入れられるんだ」という信念システムが形成されます。このような信念システムができれば、親以外の他者に対しても非常に利己的で自己中心的なふるまいをするようになります。当然ながら、社会生活を営む上で自分のわがままな要求が通ることは少なく、そのような状況になると、その都度、不愉快になり、ストレスがたまりますよね。そうなりますと、共同体感覚は身につかず、本物の自己肯定感ではなくガラスの自己肯定感が高まります。その結果、健全でないライフスタイルが形成され、成長できない、周囲の環境に適応できない幸福でない人になってしまいます。

「ほめる」と「甘やかせる」とは、意味合いも、方法も根本的に異なり、子どもさんに与える影響も全く正反対なものなのです。

ほめられない行動をしたときは、その理由を考えさせる

もし子どもがほめられない良くない行動をしたときは、怒ったり叱ったりしてはいけません。

当然、ほめても、甘やかしてもいけません。何もせずに放置することは甘やかすことと同じです。

まず、ほめずに、そして、ほめられない理由を説明してあげてください。

たとえば朝7時にごはんを食べるという約束を子どもをした場合、子どもがきちんと朝7時に朝ごはんを食べたら、思い切りほめてください。もし、朝7時の朝ごはんの時間に遅れたときは、ほめずに、当然、怒らずに叱らずに、子どもに、

「朝ごはんは7時と約束したよね。今日はできなかったよね。○○ちゃんらしくないよね。」とほめない理由をやさしく告げて、朝ごはんをとらせてください。そうすれば、子どもは、「今日はどうしてほめられないんだろう」と考えます。「ほめられる状態」が心地よいと感じるようになっていれば、ほめられない状態は、子どもにとってとても不快で違和感を感じているはずです。そして、「朝7時の朝ごはんの時間に間に合わなかったから、お母さんはほめてくれないんだ」と自分で考え、「明日はほめてもらえるように朝7時の朝ごはんの時間に起きよう」と自ら改善する行動をとるようになります。

「朝7時に朝ごはんを食べる約束でしょ!なんでできないの!!今日は寝坊するの!!」と怒ったり叱ったりする必要は全くないのです。

ほめながら注意する、理論で説明する

それでも、「周囲に迷惑をかけるような行動、悪い行動、危険な行動をしたときは、叱ったり怒ったりしないといけないでしょう。悪いことは悪いとわからせないとしつけにならないでしょう。」と、思われるお母様お父様も多くいらっしゃるでしょう。

当然、良くないことや危ないことを、子どもに良くないことと教えたり、危ないこととたしなめたりすることは大事です。ただし、そのような場合でも叱ったり怒ったりする必要は全くありません。

周囲に迷惑をかけるような行動、悪い行動、危険な行動を子どもが行なったとき、0~3歳の子どもと、4~5歳の子どもとは対応が少し違います。

たとえば、0~3歳の子どもが周囲に迷惑をかけるような行動や危険な行動をしたとき、まずは、その迷惑を及ぼすような環境から外れたり、危険な環境から遠ざけたりすることが第一です。

そして、ほめながら注意をしてください。

たとえば、「良い子だから、ここでは騒がないでおこうね。」とか、「良い子だから、危ないところから離れようね」という風に、優しくほめながら注意をすると良いと思います。

4~5歳の子どもが周囲に迷惑をかけるような行動や危険な行動をしたとき、徹底的に理論で説明しましょう。

たとえば、子どもが高いテーブルに乗るような行けない行動をしたとき、「高いテーブルに乗ってはいけません!なんで危ないことをするの!」と叱るのではなく、

「どうしてテーブルに乗りたいの?」、「理由を教えて。」

と理由を聞いてください。すると、子どもはもっともらしい理由を話すと思います。たとえば、

「棚の上のぬいぐるみを取ろうとしたから」とか、「高いところにいると気持ちいいから」とかです。

そこで、親が子どもの理由に納得すればそれを受け止めればよいですが、納得いかない論理的でない理由を子どもが言えば、「お母さんがわかる理由を説明して」と粘り強く聞いてみてください。

理由を聞いたうえで、親は、「でも、高いテーブルに乗ったら落ちて大けがするかもしれないよ。それでも良いの?」と質問します。

そうすると、子どもは、自分が高いテーブルに乗りたい理由と、それを行なったために起こる危険を天秤にはかり、どちらが自分に最適か考え、高いテーブルに乗るをやめるか、別の方法を考えるはずです。

子どもは素直に「じゃあ高いテーブルに乗るのはやめるよ」と答えるかもしれません。または、「危ないからお母さんテーブルを押さえておいて」とお願いするか、「じゃあ、お母さんが棚の上のぬいぐるみを取ってよ」と言ってくるかもしれません。その子どものお願いに親が納得すれば、その通りにしてあげれば良いし、子どもの新たなお願いや提案に納得できなければ、さらに論理的な理由を質問すれば良いと思います。

ほめられて微笑む子どもとお母さん

子どもの「周囲に迷惑をかけるような行動、悪い行動、危険な行動」を改めるには、叱ったり怒ったりするのではなく、子どもの意思や感情を尊重しながら、行動の是非を論理的に説明し、その上で子ども自身に考えさせるように指導することが大事です。

次回のブログでも、子どもにポジティブな情動記憶を残すために、親が子どもにとっての安心安全な存在になる意義と方法について記したいと思います。

3つのよいことノート」は、親子で「3つのよいこと」を振り返ることで、子どもの1日に行った「3つのよいこと」をほめる(承認する)機会をつくり、1日の「残念なこと困ったこと」があれば、それを論理的に改善する方法を親子で考える機会をつくり、子どもさんの健全なライフスタイルの確立に役立つように作られています。一度、お使いになってお試しいただくことをお薦めします。

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