こんにちは。ハピネスノートです。
ハピネスノートが綴る「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。
桜の開花の知らせが届くようになり、春が徐々に近づいてくるのを感じます。
さて、最近の「3つのよいこと」。
嬉しかったことは、まん延防止が明け、家族と久しぶりに外食し、美味しい中華を堪能したことでしょうか。
頑張ったことは、2020年に脱稿し、校正が上がっていながらコロナ禍の影響(を理由にした私の怠慢)などによって編集作業が停止していた自身4冊目の本の作業を少しずつ再開したことでしょう。夏までには上梓したいと思っています。
ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、その4冊目の本に関して、さまざまな企業から快く協力をいただいたことでしょう。突然のお願いにもかかわらず、ご多忙の中、お取り計らいくださり感謝感謝です。
幸福な出会いを生み出す仕事なんだ-とある空港のシャトルバス運転手の言葉
前回のブログでは、子どもさんのグリットを高めるための目的意識を持たせるには、「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を見つけることが第1歩で、さらにそこから踏み込んで、「自分が大好きなことをして他者が喜ぶこと」、「自分の興味のあることをして他者に役立つこと」というような“ユーダイモニズムの芽ばえ”を感じさせることが大事だと記しました。覚えていらっしゃるでしょうか?
3つのよいことブログNo.24‐子どものユーダイモニズムが芽ばえるとき
ユーダイモニズムとは、幸福を追求する方法の1つで、ユーダイモニズム的な幸福とは、「内なる良い精神と調和する幸福」、「意義ある目的を追求する幸福」になります。
そのようなユーダイモニズムに関して、私のポジティブ心理学コーチングの師匠、ポジティブ心理学界のインディ・ジョーンズから空港のシャトルバス運転手のエピソードを聞いたことがあります。
その師匠(仮にインディと呼ぶことにします)は、心理学的好奇心のおもむくまま、手あたり次第に人に質問を投げかける奇妙なお人なのですが、ある日、空港でシャトルバスの運転手に質問しました。
「あなたは仕事にどのようなやりがいを持ってなさっているのですか?」と。
インディは、飛行機と空港ターミナルとの往復、あるいは空港内のターミナル間の移動をするだけの単調な仕事と思い、そんな仕事は退屈ではないのかという思い込みからそのような質問をしたようです。
シャトルバスの運転手の答えは、インディの予想とは異なる意外なものでした。
「俺の仕事はバスを動かすことじゃない。幸福な出会いを生み出すことなんだ。このバスに乗って飛行機からターミナルに移動する人は、そこに愛する家族が待っていて、幸福な出会いのひとときが生まれるかもしれない。俺はシャトルバスを動かすことで乗客の幸福な出会いをつくる手伝いをしているんだ。とてもクールな仕事だろ?」
このシャトルバスの運転手は、まさにユーダイモニズム的な幸福のためにバス運転手の仕事をしていると思います。
これと同じようなエピソードに「レンガ職人」の寓話があります。
通りがかりのある人が、3人のレンガ職人に「何をしているのですか?」と尋ねたところ、
1番目の職人は、「レンガを積んでいるんだよ。」
2番目の職人は、「教会を作っているんだ。」
3番目の職人は、「礼拝に来る人たちが誇らしく思う、歴史に残る大聖堂を作っているんだ」
と三者三様の答えが返ってきました。
この3つの答えは、3つの仕事観を象徴しています。1番目の職人は、レンガ積みの仕事を「ジョブ(お金がもらえるからする仕事)」ととらえています。2番目の職人は、レンガ積みの仕事を「キャリア(高い地位にキャリアアップするための仕事)」ととらえています。そして、3番目の職人は、レンガ積みの仕事を「コーリング(人生で最も大切な仕事、天職、意義のある仕事)」ととらえています。
インディが質問したシャトルバスの運転手は、自分の仕事を、ジョブでもキャリアでもなく、コーリング、天職と考えているのです。
利己的な目的と利他的な目的は両立する
3つの仕事観のうち、自分の仕事をコーリングととらえている人が、最もグリットが高いという調査結果があります。皆様はご自身の仕事をコーリングととらえていますでしょうか?
小学生や中学生の子どもさんには、将来の仕事がコーリングと呼ばれるようなものととらえるには、難しいし、まだ早いと思います。「自分が大好きだから」といった利己的でヘドニズム的な目的から、「自分が大好きだし他の人にも役立つから」といったユーダイモニズム的な目的を徐々に見つけていけば、自然と「自分の才能や強みを生かせる進路、コーリング」が見つかっていくと思います。
多くの人は、利己的な(ヘドニズム的な)目的と、利他的な(ユーダイモニズム的な)目的とは、二律背反していて両立しないと考えているようです。そんなことはありません。経験から考えると、二律背反するどころか、混在する場合が多いように思います。人が目指す目的には、快楽を満たすような利己的な成功が得られると同時に、他者に貢献するような利他的な成果も得られる場合がほとんどのように思います。ただし、その中でも、利他的な(ユーダイモニズム的な)目的の比重が多く、その目的達成の副産物として、利己的(ヘドニズム的)な成功がついてくるといったスタンスを取っている人は、グリットが高いように感じます。
同じように、人の仕事観においても、ジョブ、キャリア、コーリングは、両立しないことはなく、多くの人の場合、心の中にモザイクのように混在しています。仕事の細かいある部分はジョブであり、キャリアであるけども、ある部分はコーリングであるという具合にです。自分の仕事観の中で、コーリングの部分が多数を占める人ほど、やはりグリットが高いように感じます。
意義ある目的を見つける3つの方法
子どもさんが、将来コーリングととらえるような、情熱を持って自分の強みや才能を注ぐ進路をみつける第一歩となるようなユーダイモニズム的な目的意識を持つには、「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を見つけたのち、それに対して「自分が大好きなことをして他者が喜ぶこと」、「自分の興味のあることをして他者に役立つこと」と感じるように続けることが大事ですが、さらに目的意識を深めるためには、次のような方法が考えられます。
1.手本となる人物を見つける
2.「それは他の人の役に立つ?」「他の人も喜ぶ?」と常に問いかける
3.このような人になりたいと具体的に考える
「手本となる人物を見つける」とは、とても意義ある目的を持って成功した人物、内なる良い精神と調和して偉業を成し遂げた人物をお手本(ロールモデル)として見つけることです。このとき、注意しなければならないのは、お手本となる人物の目的が「利己的な目的」を持つのではなく、「意義のある目的」でなければなりません。「利己的な(ヘドニズム的な)目的」を持つ人物をロールモデルにすれば、子どもさんの目的意識も、「自分だけが大好き」の域から超えることはなく、「利己的な目的」にとどまることになります。
「「それは他の人の役に立つ?」「他の人も喜ぶ?」と常に問いかける」とは、子どもさんが「大好きなこと」、「興味があってワクワクすること」を行っているとき、「それは他の人の役に立つ?」「他の人も喜ぶ?」と、子どもさんに質問することです。または、子どもさんが自分自身で問いかけるように促すことです。質問に対する子どもさんの返答が、「自分だけが楽しくて他の人には役立たない(あるいは、わからない)」だったり、「自分が嬉しくて他の人は喜ばない(と思う)」というものであれば、子どもさん自身の行なっていることに対して、「利他的な側面」に目を向けさせ、利他的なとらえ方ができるように導くことが大事です。自分の大好きなことに対する「利他的なとらえ方」ができないようであれば、「大好きなこと」を別のものに変えるように促すことも考えてもよいかもしれません。
「このような人になりたいと具体的に考える」とは、お手本となる人物を見つけると関連するのですが、見つけたお手本となる人物と同じような意義ある目的を達成したリアルな実像をイメージすることです。リアルな実像を最終ゴールとすることです。このときとても大事なことですが、お手本となる人物自身そのものになることは不可能なので、「○○さんになりたい」という目的を持つことは、非現実的な(実現不可能な)ゴールを設定することになるので避けたいところです。そうではなくて、「○○さん(のような意義ある目的を持って成功した人)のように、自分も意義ある目的を持って成功する」と理想を掲げさせ、その理想像を自分独自のオリジナルなものとして現実のように想像し、それを最終ゴールとするよう促すのです。子どもさんには具体的な理想像をリアルに想像することはまだまだ早く難しいと思いますが、思い続ければ、想像し続ければ、より具体的なリアルな理想像が固まってきます。
「3つのよいことノート グリットup」は、「自分の大好きなこと」、「心の底から興味が湧くこと」を行い、それに対する3つのよいことを日々考えることで、自分だけの意義ある目的を持つ理想像、最終ゴールを実現するステップとなるように工夫し、構成しています。
「3つのよいこと®ノート」を購入できるハピネスノート ネットショップ」はこちらから
次回のブログからは、グリットを高める4つのステップ興味⇒練習⇒目的⇒希望のうちの4番目のステップ「希望」について書こうと思います。