久々に銀座のど真ん中を散策し、殺人的な人混みの多さにヘトヘトになった、研修講師でセミナー講師なのに人見知り。おのぼりさんで繊細さんな“レジリエンストレーナー”松岡タカノリです。
コロナが明けて久しぶりに歩く銀座界隈は、海外からの観光客があふれており、コロナ前の喧騒にすっかり戻ったようですね。ただ、お客様の国籍の多様さが以前とは違っているように感じます。
「マイフェアレディ」と「舞妓はレディ」
先日、レジリエンストレーナー養成講座を行っていると、再受講をされている受講生の方から、前の講座では、認知の歪みの1つ、「レッテル貼り」の逆の現象として、“ピグマリオン効果”の話を私がしていたとご指摘を受けました。
ピグマリオン効果とは、教師(指導者)が、「生徒が優れている」と信じ、期待して指導すると、その期待や予想通りに学習能力が向上するという効果です。ピグマリオンはギリシャ神話に出てくる王の名で、その王の恋焦がれた女性の彫像が、女神アフロディーテの力によって人間化するという寓話から名前が付けられています。
ピグマリオン効果を取り上げた典型的な映画に「マイフェアレディ」や「舞妓はレディ」があります。
ネタバレになるのでストーリーは書きませんが、いずれもとても面白い映画なので、機会があれば是非ご覧あれ。
ただほめればよいというものではない
ピグマリオン効果を最初に発表したアメリカの教育心理学者、ローゼンタールは、実際にサンフランシスコの小学校での実証実験で、この効果を見出しました。
ただ、その後の研究で、子どもに対して「あなたはできるのよ」、「あなたは能力があるのよ」と、
能力に焦点を当てたほめ方をすると、ピグマリオン効果は起こらないばかりか、逆の効果が現れます。
このブログの読者は、既にお分かりかもしれませんが、ガラスの自己肯定感だけが高くなってしまうのです。
キャロル・ドゥエックも、著書で、「子どもに“あなたは頭が良い”と言ってしまうと、その子は自分を賢く見せようとして愚かなふるまいをするようになる」と記しています。まさにガラスの自己肯定感のふるまいですよね。
強み(美しい心)を指摘する。承認する
では、子どもにピグマリオン効果を起こすには、どのようにすればよいか?
キャロル・ドゥエックは、「子どもに知能・能力をほめると成績が下がり、努力をほめると成績が伸びる」と記しています。能力や良かった成績をほめる前に、まずは努力、過程をほめると、ピグマリオン効果は現れます。
努力・過程をほめる以上に、効果を発揮する方法は、子どもの
「人格の強み(キャラクター・ストレングス)を指摘し、承認すること」です。
人格の強みとは、人の人格・性格に備わっているものなので、多かれ少なかれ誰しもが備わっているものです。
『子どもの人格の強みがわからないので、指摘・承認できない』なんて言葉が聞こえてきそうですが、人格の強みとは、美徳、つまり、「人として望ましいりっぱな心のあり方や行い」ですので、
子どもが人として素晴らしい心を示したり、行動をしたりすれば、そこを指摘し、承認すればよいだけのことです。
子どもがお友達やお年寄りに親切にしたり、思いやりのある心や行いをしたり、まじめに物事に取り組んだり、一生懸命に努力したり、粘り強く目標に向けて努力したり、熱心に一つのことに没頭したりしたことに対して、その行動とともなう結果を承認する前に、
「親切な心」、「思いやりのある優しい心」、「誠実な心」、「努力する心」、「辛抱強い心」、「熱意ある情熱的な心」、そのような美しい心の在り方を指摘し、そのような美徳がその子どもにあると認識させることが大事です。特に子どもは、指摘されなければ自分の強みを自覚できないからです。
子どもに美しい心を指摘し、承認すれば、それをこれからも活用しようと脳が働きます。
その結果、ピグマリオン効果が現れ、強み豊かなレジリエンスの強い、本物の自己肯定感が高い子どもに育ちます。
子どもの美しい心を指摘する。とてもシンプルですよね。だけど、なかなかできないのは、おそらく、
「そんな心、誰だって持っているんだから指摘しなくてもわかるでしょ?」という大人目線からのバイアスではないかと思います。
そのようなバイアスを取り払い、子どもや児童、生徒を指導する機会がありましたら、
美しい心(人格の強み)を指摘し、ピグマリっちゃってください!
先日、セミナー会場の下見に銀座を散策したときのこと。あまりの人混みの多さと蒸し暑さのため、その夜のオンラインセミナー登壇を控えているにもかかわらず、冷たいビールかシャンパンを飲みたい衝動に駆られました。「待て待て、私には自制心と忍耐力、責任感という美しい心があるのだ」と、自分でピグマリっちゃって逆境(??)を克服しました。
オンラインセミナー後、ホテルの部屋で赤ワインを1本飲み干しちゃいましたけど(;^_^A
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