松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.9-困ったこと嫌だったことを書く深い意味

こんにちは。ハピネスノートです。

ハピネスノートが綴る「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、「3つのよいことノート」をご購入いただいた手帳好き、手帳ファンの方々から、SNSでとても評価いただいたことですね。多くの方に「3つのよいことノート」が広まってきて嬉しい限りです。

頑張ったことは、11月に東京で開催されるとある展示会に出展するのですが、その準備のため、奔走したことでしょうか?展示会の出展に関しては、次回のブログでご案内させていただきます。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったことは、ひょんなつながりで、ビジネススクールの後輩の方からお声がかかり、商談がまとまったことでしょうか。私の出身のビジネススクールの人脈は多岐にわたるなあと感じ、出身ビジネススクールと、お声をかけていただいた後輩の方に、ただただ感謝あるのみでございます。

困ったこと嫌だったことを書く理由

「3つのよいことノート」をご覧になった方は、嬉しかったこと、頑張ったこと、ありがとうと思ったことの「3つのよいこと」を書く欄の最後に、スクールでは「こまったこといやだったこと」、MaSCEAでは「こまったこと」を書いてもらう欄があることをご存じでしょう。

この欄によって、お母様やお父様は、子どもさんの困ったことを早く知ることができてとても安心するというコメントをいただくことがあります。子どもさんのネガティブな感情やネガティブなサインをいち早くキャッチできるという意味なのでしょう。

一方で、「3つのよいことノート」だから「3つのよいこと」だけで良いのではないか、わざわざ「困ったこと」を書かせる意味があるのか、といったご意見も少ないながらいただくことがあります。

「3つのよいことノート」に、「3つのよいこと」だけでなく、「こまったこといやだったこと」を書いていただくには、意図があります。それは、次のような意図です。

1.ネガティブな感情をきちんと表現するクセをつける

2.ネガティブな状況を打開する方法を自分で見つけるクセをつける

3.ポリアンナ症候群にならないように予防する

この3つの意図がベースにあり、「3つのよいこと」だけでなく、「こまったこといやだったこと」を子どもさんが書き、保護者様がお返しのコメントをすることによって、「3つのよいことノート」は、子どもさんのガラスの自己肯定感ではない、本物の自己肯定感を高めることができるのです。

ネガティブな感情をきちんと表現するクセをつける

子どもさんが不安や恐怖を覚えたり、怒りを露わにしたりすると、親は、本能的にそのような不快な感情から子どもを守り、不愉快な気分をすぐにでも解消しようと思われるかもしれません。果たして、それで子どもの「本物の自己肯定感」は高まるでしょうか?

不愉快な感情(ネガティブ感情)は、忌み嫌うものでは決してなく、本来生きる上でとても必要な感情なのです。「本物の自己肯定感」も、生きる上での根源となるエネルギーですが、ネガティブ感情は、生きていく上でのさまざまな危険を察知し、それを回避するために必要なものなのです。

自分の力でネガティブ感情に上手く対応できないと、自己肯定感(自己受容感)は高まらず、せっかく高まってもすぐに低下してしまいます。逆に、本物の自己肯定感が高い人、子どもは、自分のネガティブ感情を受け止め、それを周囲にも表現することができます。

ネガティブ感情に上手く対応する第1歩は、自分の感じたネガティブ感情をきちんと周囲に表現することです。最近、デジタルの普及などの影響で親子や子ども同士のコミュケーションが少なくなったり、会話での語彙力が乏しくなったりしているといったことを聴きます。コミュケーション量や語彙力の不足は、表現力の低下を招き、ひいては感情をきちんと表現できない状況を招きます。

ネガティブな状況を打開する方法を自分で見つけるクセをつける

子どもさんが困った状況や嫌な状況にあったとき、親の立場としては、子どもさんが解決するのではなく、親が解決したい、対応したいと思われるかと思います。「3つのよいことノート」の対象年齢である6歳~9歳の子どもさんは、まだ十分に自我、自己が確立しておらず、自分の意思で問題を解決する力が十分でないので、なおさら、親としてはそのように思うかもしれません。

ただし、そのような場合でも、親が子どものネガティブ感情や、その感情を引き起こした不愉快な状況に過度に介入せず、親が主導で解決するようなことは可能な限り避けていただきたいと思っています。(深刻ないじめの場合は話が違ってきますが、そのような場合でもまずは子どもさんの意思を確認し、尊重するようにしていただきたいと思います。)

親が主導で子どものネガティブ感情や不愉快な状況に対応すれば、子どもは、「何か困ったことがあってもお父さんやお母さんが助けてくれる。解決してくれる」とメッセージを誤って受け取ってしまい、問題解決能力が養われず、自律性が高まらず、結果、本物の自己肯定感が高まりません。

親としては、子どもさんの困ったことや嫌だったことのコメントを読み、ネガティブなサインを確認したら、まずは子どもさんの書いたネガティブなコメントをそのまま受け止めてあげてください。そのうえで、子どもさんに、決して「自分で考えなさい」と突き放すのではなく、自分の力で対応するように促す優しいコメントを返していただきたいのです。

例えば、「3つのよいことノート」の冒頭の記入例にも記していますが、

「困ったことを書いてくれてありがとう。困らないようにするにはどうすればよいかな?」と解決法を考えさせたり、

「次は上手くいくようにママと一緒に考えようね!」と、一緒に対応法を考えたりしてみてください。

しょんぼりする女の子と慰めるお母さん

ポリアンナ症候群にならないように予防する

「3つのよいことノート」に「こまったこといやだったこと」を書いていただく3つ目の意図は、「ポリアンナ症候群の予防」です。 ポリアンナ症候群とは聴き慣れない言葉と思います。少し説明しましょう。

ポリアンナ症候群とは、直面する問題の中の小さな良い面(肯定的な面)だけを見て、大部分の悪い側面に目をつぶったり、現状よりも悪い状況を考え、今はそうなっていないことに満足したりするような、現実逃避的な自己満足に至る心的症状です。

ポリアンナの語源は、エレン・ホグマン・カーター女史の児童文学の名著、『少女パレアナ(ポリアンナ)』からきています。『少女パレアナ』は素晴らしい児童小説なので、その主人公のパレアナも、ポリアンナ症候群のような現実逃避する少女と誤解されそうなので、私としては「ポリアンナ症候群」という名前は、あまり好きになれないのですが、便宜上、このブログではこの名称を使います。

ポリアンナ症候群を示す人は、一見、ポジティブな人のように見えがちですが、決してポジティブな人ではありません。むしろ、ネガティブな状況を克服できない悲観主義的な人であり、隠れたネガティブな人と思います。また、自己肯定感が低い人か、高くてもガラスの自己肯定感が高い人と考えられます。

心理学的には、「3つのよいこと」だけ行っても、自己肯定感は高まります。ですが、私としては、子どもさんとはいえ、良いことだけでなく、ネガティブな状況、悪いことにも、ありのままにしっかり受け止め、ポリアンナ症候群になることなく、ガラスの自己肯定感を育むことなく、本物の自己肯定感を高めてほしいと願っています。そのような意図があって、「3つのよいことノート」に「こまったこといやだったこと」を書いていただくようにしているのです。

「3つのよいことノート」は、1日の良いことだけでなく、不愉快な出来事、ネガティブな感情にもありのままに受け止めるようにして、ネガティブな状況へ自主的に対応できるような力を養い、ポリアンナ症候群を予防し、本物の自己肯定感を高めるように作られているのです。

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ポリアンナ症候群という症状は、個人的にとても興味深いものですが、私はめったにポリアンナ症候群の方とお会いしたことはありません。個人的な感想ですが、日本人にはポリアンナ症候群の方は少ないように思います。

私たち日本人は、過剰なストレスにさらされた状況や逆境に会うと、その状況を悲観的にとらえがちです。楽観的にとらえることが何か将来に禍根を残したり、弊害を及ぼしたりするのではないかと考える傾向にあるように思います。楽観主義を忌避するようなメンタリティが根底にあるのではないかと、昨今のコロナ禍の状況と日本人の対応を観察するたびに感じるのです。それがポリアンナ症候群の方があまりみられない要因の1つかもしれません。

ポリアンナ症候群は、いずれ本ブログで紙面を割いて取り上げたいと考えています。