松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.28‐失敗は成功の母と考えられる?考えている?

こんにちは。3つのよいことノートです。

3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

6月に入り、蒸し暑さが日増しに強くなってきました。往来の賑わいもコロナ前に戻りつつあるようで、嬉しくなります。ようやく元の日常が回復しつつあることを実感しています。二度と理不尽な空騒ぎが起こらないことを祈るばかりです。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、先日、久しぶりに出張で京都を訪れたことです。京都駅を降りると、コンコースは人でいっぱいでコロナ前の状態に戻りつつあると感じました。四条烏丸や河原町、東山の辺りも観光客で溢れており、かつての賑わいがもどってきているなあと実感しました。

頑張ったことは、先日、とある方のパーソナルストレングスビルディングコーチングを実施した際、コーチングをしながら、私自身の強みをベースにしたセルフコーチングを行い、自分の新たな目指すゴールが明確になったことでしょう。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、先日、ビジネスパートナーからご配慮いただき、3つのよいことノートのますますの普及・拡販の可能性が大きくなったことでしょう。より多くの子どもさんに3つのよいことノートを届けることができるようになり、ただただ感謝感謝です。

失敗は成功!?

失敗は成功の母」、「失敗は成功のもと」という故事ことわざがあります。皆様もご存じかと思います。同じようなことわざに、「七転び八起き」、「禍転じて福となす」というものがあります。いずれも、「失敗することによってやり方を改めることができ、かえって成功へと繋がることになるから、一度や二度の失敗にくじけるべきではない」という意味が含まれています。

このような故事が古くから存在し、現代に生きる私たちにも納得する言葉であり続けるのは、古来から、人間は一度や二度の失敗によって挫折し、それを乗り越えられないケースが多いということと、現代でも失敗という経験は、人のグリットやレジリエンスを著しく下げる体験であるからなのでしょう。また、このようなことわざから、古来から人は、失敗や挫折を克服する手段を潜在的に求めているのではないかと思われます。

グリットの妨げになるものは、失敗よりも無力感を学習してしまうこと

私たちが生きていく上で、失敗はつきものです。また、一度や二度の失敗で本来ならばグリットが低くなることはありません。グリットの向上の妨げになるものは、失敗ではなく、失敗を過度に悲観し、「どうせ頑張ってもだめだなんだ」と無力感を学習して意識に定着することなのです。

これは学習性無力感と呼ばれます。

ポジティブ心理学の創始者、マーティン・セリグマン博士は、心理学博士課程の学生の頃、実験室のケージに入れられた犬の後ろ脚に電気ショックを与え、その後の様子を観察しました。

犬への電気ショックは不規則に警告なしに与えられました。犬が何もしなければ電気ショックは5秒間続きますが、ケージの前にあるパネルを犬が鼻先で押すと、電気ショックは止むしかけになっていました。

ケージに電気ショックを止めるパネルのある犬のグループとは別の犬のグループを用意し、それらには、同じように電気ショックを与えるものの、それを止めるパネルがついていないケージが用意され、入れられました。つまり、このケージの犬は、自ら電気ショックを止めることができず、いったん受けたら5秒間受け続けるしかなかったのです。

その後、それぞれの犬のグループには、別の実験が施されました。中央に跳び越えられる低い壁のあるボックスに犬を入れ、高い音を合図に犬のいる床に電流が流されます。先の実験で(電流を止めることができる)パネルありのケージに入れられた犬は、ほぼ例外なく低い壁を乗り越え、電流の流れない床に逃げていきました。ところが、パネルなしの実験を受けた犬のグループは、大半(70%ほど)が壁を跳び越えることなく、床に横たわってクンクンなきながら電気ショックが終わるのを待っていたのです。

この実験から、セリグマンらは、「無力感」をもたらすのは、電気ショックによる苦痛そのものではなく、「苦痛を回避できないと思うこと」、つまり、「無力感を学習してしまうこと」と証明したのでした。

これらは、失敗そのものがグリットを下げるのではなく、「いくら努力してもどうせまた失敗する」という無力感を学習することこそがグリットを下げることを示唆しています。

失敗のとらえ方を変えることで学習性無力感を克服できる=学習性楽観主義

子どもさんが何事かを行おうとしたとき、何度か失敗が続くと、途中であきらめて放り投げてしまった場合、その子どもさんには学習性無力感が発生した可能性が高いと思います。子どもさんに限らず、私たち大人でも、失敗が何度も続くと無力感を学習してしまい、心が折れて成し遂げたいことをあきらめることもあるでしょう。ですので、学習性無力感は、けっこう身近に感じられるものなのです。

ただし、学習性無力感は、後天的に学習して身についた感情であり情動なので、克服することができます。それは、「失敗」のとらえ方を「無力感」を養うような捉え方から転換し、楽観的なとらえ方に変えることです。楽観主義を学習することなのです。

セリグマンの犬の実験で、最初にパネルなしのケージで電気ショックを受けた犬のグループのうち、2番目の電気ショックの実験では70%の犬は「学習性無力感」を感じてしまったのですが、30%の犬は、あきらめずに電気ショックから逃れようとしていたそうです。セリグマンは、そこから楽観主義も学習するのではないかと考え、「学習性楽観主義」という現象を発見しました。それが今日のポジティブ心理学の創始につながっていくのです。

「学習性無力感」と「学習性楽観主義」を分けるカギとなるものは何かといえば、

それは「希望」です。

「苦痛はどんなことをしても避けることができない」と思うのではなく、「苦痛は絶対に避けることができる。自分はそれを成し遂げることができるんだ」という「希望」を持つことが、「学習性無力感」に陥ることなく、「学習性楽観主義」を起こし、そしてグリットを高めることにつながるのです。

岩場に立つ女の子

ではどのようにすれば「学習性楽観主義」を身に付けることができるのか?

それは次回のブログでご紹介するとして、今回の締めとして、グリットの高い先人の失敗に対する捉え方をいくつか紹介しましょう。

「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」(トーマス・エジソン)

「生きることの偉大の栄光は、決して失敗しないことではない。失敗するたび、起き上がり続けることにある。」(ネルソン・マンデラ)

「僕は何度も何度も何度も失敗してきた。だからこそ僕は成功したんだ。」(マイケル・ジョーダン)

3つのよいことノート グリットup」は、ノートを書き終える最終段階において、「来月に向けての希望」のページを設け、来月やってみたいことを書くことによって「希望」を高め、グリットを高めるように構成しています。

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