松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.37‐子どもが楽しんで通学するためには~小中不登校24万人超を考える

こんにちは。3つのよいことブログ、ライターの松岡孝敬です。レジリエンストレーナーをしたり、ポジティビティを高めるノートを創ったり、本を書いたりしています。

この「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、先日、商用で上京した際、タイミングよく出身高校の在京同窓会が六本木ヒルズクラブで開催され、出席したことでしょうか。不義理な性格なもので、母校の高校の同窓会には初めて出席したのですが、同窓生の皆様、温かく歓迎してくれて、愉しい時間を過ごすことができました。

頑張ったことは、レジリエンス研修を数回行い、また導入に向けたデモンストレーションやプレゼンテーションを数社で実施させていただき、いずれもレジリエンスの重要性とレジリエンス研修の有効性をご理解いただいたことでしょう。レジリエンストレーナーとして独立して7年半以上の月日が流れているので、かなりの経験知が蓄積されたようです。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、「3つのよいことノート」のプロモーションに関して、数名のプロフェッショナルな方々が関与し、とても効果の高いプロジェクトが進みつつあることでしょう。さまざまな分野で活躍されている方々の「3つのよいことノート」に対するご意見は、私が気づかなかった視野を広げてくれて本当に感謝感謝でございます。

小中学校の不登校児童生徒、24万人超の衝撃!

10月28日、文部科学省は、問題行動・不登校調査の結果を公表し、全国の小中学校で2021年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は24万4940人と発表しました。これは、前年度より24.9%増え、過去最多です。2021年度に小中学校などが認識した、いじめの件数も同時に発表され、61万5351件でした。これは前年度より19.0%も増え、こちらも過去最高です。

不登校の児童生徒24万人超、いじめ件数61万件超。衝撃的な数字ですよね。本当に悲しくなります。

この調査結果に対して文部科学省は、「コロナ禍による環境変化が子どもに大きな影響を及ぼしたことがうかがえる」と見解を述べています。また、「運動会や遠足といった学校活動が制限され登校意欲が下がったという見方や、休校による生活リズムの乱れが戻らないなどの事例の報告もあった」と説明しています。

確かにコロナ禍によるストレスが、不登校増やいじめ増に影響したことは否めません。しかし、コロナ禍が収束すれば、不登校やいじめがなくなるのかと問われれば、「なくならない」と思う見方が圧倒的に多いのではないかと思います。

ギャップアプローチよりもポジティブアプローチ-原因追及と対症療法よりもポジティブ心理学をベースにした根治療法のススメ

児童生徒の不登校には、以下のような原因がよく挙げられます。

学校生活によるトラブル(いじめなどの人間関係、教師との関係)、無気力、非行、学業不振、精神の未成熟、家庭環境、発達障害、神経症などです。心、メンタルに関する原因、問題が大半ですね。

不登校を失くすため、減少させるため、これらの原因ひとつひとつに対処することは大事ですが、私は、根本的な解決にはならないと思っています。

なぜなら、真の原因は、もっと根深く奥深いところにあるからです。

不登校の本当の原因、根深い要因は、戦後日本の社会構造です。不登校やいじめを助長する社会構造と学校教育のメカニズムそのものが、不登校やいじめの真の原因と私は考えています。

ですので、学校生活によるトラブル、無気力、非行、学業不振、精神の未成熟、家庭環境、発達障害、神経症などの原因ひとつひとつに対処しても、対症療法的な効果は期待できるものの、日本の現在の社会構造が変わらない限り、根本的な解決には至らないと私は考えています。

話は少し逸れますが、問題解決の方法(アプローチ)には、大きく2つに分けられます。1つはギャップアプローチ(不具合原因追及型問題解決)です。もう1つはポジティブアプローチ(未来創造型課題解決)です。

ギャップアプローチは、不具合の原因を追及し、その原因に対処して問題を解決する方法です。これは機械やシステムのトラブル解決には効果を発揮しますが、人や組織の課題解決には適さないと言われています。なぜなら、人や組織の課題の原因は、上記の不登校の原因の例でもおわかりのように多岐にわたっており、それらの原因すべてに対処するのは大変ですし、すべての原因に対処しても、実は真の原因はもっと別のところにある場合が多いからです。

一方、ポジティブアプローチは、原因を追及するのではなく、問題が解決し、さらに良くなった理想の未来像をゴールに掲げ、その理想像を実現することで課題を根本的に解決する方法です。

私は、人や組織の課題を根本的に解決するには、ポジティブアプローチによる解決が最適と考えています。不登校やいじめの解決も、ポジティブアプローチで取り組むべきではないかと考えています。

つまり、「不登校のすべての原因を追及し、それをなくそう」といったギャップアプローチではなく、ましてや「不登校やいじめを助長する現代日本の社会構造、学校教育のシステムを変えよう」といった回避目標(行動や状況を回避しようとする目標)を掲げるのではなく、

「すべての児童生徒が生き生きと楽しんで通学する」といった接近目標(行動や状況を目指す)を理想のゴールに掲げ、その目標達成に向けてアクションするポジティブアプローチを行うべきではないかと思うのです。

今こそ非認知能力の向上が重視される時代

自己肯定感やグリット、レジリエンスなどのような、目に見えない力は非認知能力(数値として認知できない能力)と言われます。その一方で、知力、学力、記憶力、IQなど数値化できる、測定できる能力は認知能力と呼ばれます。

戦後日本の社会や学校現場は、学歴偏重、知識偏重社会で、認知能力の向上だけが重要視され、非認知能力の向上をおろそかにしていました。私を含め、戦後の日本で育ち、学校教育を受けた人々は、すべてその影響を受けたはずです。かつては、“良い高校”“一流大学”に進学し、誰もが知る有名な一流企業に勤務する、または国家公務員になるというゴールがステイタスとして認知され、重きを置かれた時代がありました。現在こそ、そのような価値観は薄まりましたが、未だに進学塾や予備校が存在し、大学のヒエラルキーが残っているので、認知能力重視の社会は根強く残っていると思います。

認知能力だけを重視し、非認知能力の向上をおろそかにした結果、子どもの精神はぜい弱化し、試験には出ないような社会生活上の課題、答えを自主的に導き出さなくてはならない社会の課題に対処できず、社会に適応できない青少年が増え、青少年の自殺率の増加や、高学歴の社会人のドロップアウトなどのようなひずみが顕在化していったのです。

そのような社会構造そのものが、現在の日本の不登校やいじめの本当の原因です。近視眼的な原因に対処しても根本的な解決にならないことはご理解いただけるでしょう。

現代は、認知能力と同じくらい、非認知能力の向上が必要とされる 時代です。

文部科学省も、新しい学習指導要領から、子どもの「生きる力」の育成に力を入れるようです。遅きに失した感がありますが、やらないよりはやるほうがましです。ただ、私は多くは期待していません。

なぜなら、子どもの「生きる力」を育む大人や学校現場の教師が、「生きる力」を失っているからです。

「生きる力」とは、自己肯定感やレジリエンスなどの非認知能力そのものです。

大人や教師の自己肯定感が低いまま、「生きる力」を失ったままで、子どもに「生きる力」を教えることができますか?

では、どうすれば良いか?

私は、学校での「生きる力」の学びと同時に、子どもが自主的に楽しんで、本物の自己肯定感やレジリエンスを高めていくことを日々の生活で習慣づけるべきではないかと思うのです。

それが、「すべての児童生徒が生き生きと楽しんで通学する」という理想のゴールを実現に導く最適な方法ではないかと思います。

通学する子どもを見送るお母さん

3つのよいことノート」は、日々活用することで、子どもの本物の自己肯定感、グリット(やり抜く力)、レジリエンス(心の回復力)を高め、総じて子どもの非認知能力を向上させます。それによって、子どもは、生き生きと楽しく学校に通い、心から学びや友達との遊び、関係を楽しむようになります。

子どもの不登校にお悩みの方はもちろんのこと、さらに子どもに生き生きと学校生活を楽しんでほしい方も、一度、お使いになってお試しいただくことをお薦めします。

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