松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.30‐しなやかマインドセットを育む方法

こんにちは。3つのよいことノートです。

3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、敬愛すべき親友と、昨今の国内外の情勢や哲学的な会話ができたことですね。現状起こっていることについて、マインドフルにとらえることができ、冷静な判断ができるようになり、かつ学びを深めることができました。非常に機知に富み柔軟な思考をもつ友人がいることは財産ですね。

頑張ったことは、ブログの資料になる参考図書や、今後の商品開発等の参考となる文献を耽読多読したことでしょう。読書は大好きなのですが、読むのが遅いので多読はハードな時間でした。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、このブログを、意外な複数の人物が愛読していることがわかったことでしょうか。これからもますますブログを頑張って書こうとモチベーションが上がりました。

しなやかマインドセットを育む子どもの「ほめ方」

前回のブログでは、しなやかマインドセットが「学習性楽観主義」を起こし、グリットを高め、ひいては物事の何をおいても成功することを記しました。覚えていらっしゃいますでしょうか?

3つのよいことブログNo.29‐しなやかマインドセットが成功を呼び込む!

今回のブログは、しなやかマインドセットを育む方法について記します。

キャロル・ドウェックの本によれば、大人がしなやかマインドセットを持つかどうかは、子どもの頃の「ほめられ方」によって決まる確率が高いと言われています。それは、アメリカの特別認可学校KIPPでの調査結果から推察しています。

KIPP(Knowledge of Power Program)は、米国全土の低所得コミュニティにある無料のオープン入学大学進学学校のネットワークで、チャータースクールのアメリカ最大のネットワークです。1994年、グリットの高い2名の教師によって創設されました。現在、KIPPには270校が加盟しており、11万人の生徒が通っています。

KIPPでは、生まれながらの才能よりも、「努力」と「学習」をほめることを教員育成の明確な方針として定めています。そして、KIPPの教員は、研修中にいくつかの生徒にかける言葉、「ほめ方」を学びます。その言葉は、単にほめるのではなく、「自分なりに目標を持って、以前はできなかったことができるようになることが大事」という意味を言下に込めた言葉になっています。

それでは、KIPPが推奨する「しなやかマインドセット」とグリットを伸ばす「ほめ方」の例を示しましょう。

『よくがんばったね!素晴らしい!』

『今回は上手くいかなかったね。一緒に今回の方法を見直してどうやったらもっと上手くいくか考えてみよう』

『よくできたね!もう少しうまくできたかもしれないと思うところはどこだと思う?』

『これは難しいね。すぐにできなくても気にしなくてよいよ。』

『もうちょっとがんばってみようか。一緒にがんばれば必ずできるから』

いかがでしょうか?努力にフォーカスして承認し、学習を促しているのがおわかりでしょうか?いずれも言葉にも、「必ずあきらめずにやればいつかはできるんだよ」という前提が込められています。

一応、KIPPがまとめた「しなやかマインドセット」とグリットを妨げる「ほめ方」の例、いわゆるNGワードの例を示しておきます。上のOKワードと対応した言葉です。

『才能があるね!素晴らしい!』(NG理由⇒才能だけにフォーカスしている)

『まあ、挑戦しただけえらいよ!』(NG理由⇒改善や学習を促していない)

『よくできたね!君は素晴らしい才能を持っている!』(NG理由⇒才能だけにフォーカスしている

『これは難しいね。でもできなくても気にしなくてよいよ』(NG理由⇒できないことを前提にしている。「すぐに」と修飾語を入れるだけでできることを前提とする意味合いに変わる

『これは君には向いていないかもしれない。でもいいじゃないか。君にはほかにできることがあるよ』(NG理由⇒才能だけにフォーカスしており、できないことを前提にしている)

いかがでしょうか?普段、子どもさんにかける言葉で何か思い当たるような言葉はありましたでしょうか?

今からでも遅くありませんから、上記のOKワードとNGワードの「ほめ方」を参考にし、NGワード的な言葉を子どもさんにかけず、OKワードをより多くかけていただければと思います。

「しなやかマインドセット」を育む「ほめ方」については、過去の自己肯定感を高めるほめ方の記事も参照くださいませ。

3つのよいことブログNo.4-自己肯定感を高める子どもの「ほめ方」

大人が率先して「しなやかマインドセット」を持つようにする。

子どもさんが「しなやかマインドセット」を持つようになるには、「しなやかマインドセット」とグリットを伸ばす「ほめ方」を日ごろから声かけることは大事ですが、それと同じくらい、私たち大人が、「しなやかマインドセット」を持ち、そのお手本を示さなくてはいけません。

『私は、子どもの頃からずっと、親から叱られてNGワードのほめられ方をされたので「こちこちマインドセット」なので、今さら「しなやかマインドセット」になれないわ』

なんてことは言わないでください。というか、そもそもそんな発想、捉え方こそが「こちこちマインドセット」で、今、「こちこちマインドセット」であっても、物事に対する捉え方を変えれば、その瞬間に「しなやかマインドセット」に切り替わります。

KIPPの教員向け研修ワークショップでよく用いられる、ある心理学者の次のような名言があります。

子どもは大人の言うことを聞くのは得意ではないが、マネをするのは抜群にうまい

子どもさんは、親の言動を見ていないようで覚えていないようで、しっかり見て覚えていてマネします。また、過去の言動との不一致な点、矛盾点を無意識のうちに感じ、違和感や不快感を感じます。子どもの感受性は大人の想像をはるかに超えて鋭敏なのです。

実際、「子どもの頭の良さは、(努力しても)ほとんど変わらない」という「こちこちマインドセット」の教師の指導の下、成績優秀者を特別扱いし、他の生徒よりどれだけよくできたかを強調したクラスの生徒は、大半が「こちこちマインドセット」になったそうです。これなどは、大人の「こちこちマインドセット」を子どもがマネした典型的な例ですね。

大人の「しなやかマインドセット」をマネて子どもさんが「しなやかマインドセット」になる逆の例も多くあります。ですので、子どもさんを持つ皆様も、自らが率先して「しなやかマインドセット」を持ち、「自分の知能や能力は、今からでも努力次第で思いのまま伸ばすことができる」とか、「自分は今からでも理想のなりたい自分になれる」と強く信じ(思い込み)、そのとらえ方に沿って行動することをお薦めします。そうなれば子どもさんは、皆様の考え方や行動を自然にマネして「しなやかマインドセット」となり、自己肯定感もグリットも高まるはずです。

もちろん、子どもさんへの対応も、「自分の子どもはこれができない」とか、「これが向いていない」とか、「失敗ばかりしでかして本当にダメな子」とか、「他の子に比べてどうしてこんなこともできないのかしら?」とかネガティブな側面だけを見ずに、「子どもさんには無限の能力が潜在的に備わっており、努力次第でどのようにでも成長できる」と強く信じて接してください。実際にそれは真理なのですから。

「3つのよいことノート」では、子どもさんが嬉しかったこと、頑張ったこと、ありがとうと感謝の気持ちが起こったことという「3つのよいこと」を書いてもらうと、親が返事を書く欄がありますので、「しなやかマインドセット」を持って、子どもさんの「しなやかマインドセット」が育むコメントを返してあげてください。

逆境を乗り越えられるものと思わせ、乗り越えたプチ成功体験を積ませる

子どもさんの「しなやかマインドセット」を育むには、「ほめ方」に気を付けることと、大人自らが「しなやかマインドセット」を持ち、率先してそれに基づいた行動をする方法があると記しました。それらに加えて、子どもさん自身に逆境は(自分自身の力で)乗り越えられるものと思わせ、かつ、思わせるだけではなく、小さな成功体験で良いので、そのような乗り越えたプチ経験を積ませることが大事です。そのような方法が必要なのです。

4,5歳~9歳の小さな子どもさんが、そんな逆境を経験することがありますか?というご批判の声が聞こえてくるような感じを受けますが、そのような小さな子どもさんでも、日々の生活で、ちょっと嫌な気分になること、困ったことが起こるはずです。それには、「勉強が上手くいかなかった」とか、「習い事が思うように上手にできなかった」とか、「お友だちとケンカした」とか、大人から見れば逆境とはいえない小さなものと私たちは思いがちですが、それは小さな子どもさんにとっては、大人以上に「困ったこと」で逆境なのです。

そのような子どもさんにとっての逆境やストレスのかかる状況、「困ったこと」に対して、私たち大人は、「しなやかマインドセット」を持ち、子どもさんのメッセージや反応を温かく受け止め、「あなたはそれを乗り越えられるよ」、「頑張れば上手くできるよ」という対応をし、そして、あくまで子どもさんの自主的な行動を促しつつ、「一緒に乗り越える方法を考えよう」と励ますことが大事です。

さらに、少しでも子どもさんが「困ったこと」を解決することができれば、努力を最大限に承認し、ほめることが大事です。そうすれば、子どもさんはそれを成功体験と認識し、その成功体験が自己肯定感も自己効力感も高め、グリットを高めることになります。そのような子どもさんは、やがて、どのような道に進むにしろ、成功する確率が高くなります。親としては、とても楽しみですね。

「3つのよいことノート」では、嬉しかったこと、頑張ったこと、ありがとうと感謝の気持ちが起こったことという「3つのよいこと」の他に、「困ったことや嫌だったこと」を書くようにしています。子どもさんが1日の困ったことを書く意義や、それに対する親の返答・対応については、ブログNo.9に記していますので、参考にしてみてください。

3つのよいことブログNo.9-困ったこと嫌だったことを書く深い意味

ブログNo.18から断続して続けてきたグリット(やり抜く力)を高める方法の記事は、今回のブログで一旦完了したいと思います。一連の方法は、「3つのよいことノート グリットup」に全て含まれているので、一度、お使いになってお試しいただくことをお薦めします。

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次回のブログから、子どもさんと大人(特にお母さん)のポジティビティ、非認知能力が高まる内容を改めて書いていきたいと思いますので、ご期待ください。