松岡タカノリのレジリエンス伝道日誌

日々是レジリエンスNo.22‐努力が苦にならない体験をつくる-フローのススメ

こんにちは。ハピネスノートです。

ハピネスノートが綴る「3つのよいことブログ」では、ポジティブ心理学や「3つのよいこと」ワークを基にした、子育てや暮らしに役だつ情報を投稿してまいります。

世間は北京オリンピックが終わり、北京パラリンピックがもうじき開幕する時期になって、その間隙をぬうように黒海周辺で戦争が始まり、オミクロン株感染拡大の状況も好転の兆しがみえず、

まさに「Chaos!(ケイオス)」ですね。

このような混沌とした状況だからこそ、今、この瞬間をありのままに見続けるマインドフルな態度を常に保ちたいものです。

さて、最近の「3つのよいこと」。

嬉しかったことは、北京オリンピックの女子カーリングチームが銀メダルを取ったことでしょうか。カーリングファンの私は、予選のゲームからかなりの時間を割いて見ていました。カーリングは「氷上のチェス」と言われるように頭脳ゲームの性格が強いので面白いですね。なによりロコソラーレの人たちの笑顔が素晴らしく、見てるだけでポジティビティが上がってしまいます。

頑張ったことは、2月18日、本ブログを運営している株式会社ポジティビティの創立記念日で、7周年を迎え、8期目に入ったことでしょうか。我ながら、7年間もよく頑張って続けているなあと思います。

ありがとうと感謝の気持ちが起こったのは、8期目を迎えられたのも、関係するすべての皆様のご支援があってこそのことなので、今までご支援いただいた皆様に心の底から感謝の気持ちが起こったことですね。特にここ数年は「3つのよいことノート」の制作を始め、新規事業を走らせ、ビジネスの領域が広がり、それに伴い、とても良いご縁をいただき、充実した時間を過ごしています。本当に感謝感謝ですね。

「意図のある練習」はツライ!?グリットは本当に高まるのか?

今回のブログも、前回に引き続き、グリットを高める4つのステップ興味⇒練習⇒目的⇒希望の「興味」のうちの2番目のステップ「練習」について書こうと思います。

グリット(やり抜く力)を伸ばすには、「意図のある練習」が必要で、それには3つのステップ(ストレッチ目標の設定⇒努力を惜しまずにストレッチ目標を目指す⇒改善点を見つけ、克服するまで何度でも繰り返し練習する)があると前回のブログで書きました。覚えていますでしょうか?

3つのよいことブログNo.21‐羽生結弦選手が4回転アクセルに挑戦するわけとは?

「意図のある練習」の例として、羽生結弦選手の4回転アクセルへの挑戦を取り上げました。

羽生結弦選手は北京オリンピックでの4回転アクセルの成功には残念ながら至らなかったのですが、挑戦したことは、多くのアスリートが賛辞を送っています。ただ御本人のコメントは、

「努力は結局実らなかった」というものでした。

羽生結弦選手は、アスリートの中でもトップクラスにグリットやレジリエンスの強い人ですが、そのような方でも「努力は結局実らなかった」と否定的なコメントを言わせるほど、4回転アクセルを成功させる「意図のある練習」は、辛かったのでしょう。

認知心理学者のアンダース・エリクソンは、グリットの高いアスリートや芸術家が「意図のある練習」を行うとき、極めて過酷に感じられ、とてもつらく、疲れを感じると報告しています。そして、世界で活躍するアスリートは、引退後、「意図のある練習」は行わないのは、練習自体が楽しくないからだとも記しています。

「フロー」に入れば、努力は苦にならない。

グリットの高いトップアスリートや芸術家が自分の専門分野を行うことは、そもそも自分の興味のあること、大好きなことだから続けているのですが、「意図のある練習」が過酷でつらく感じてしまうのは、大好きなことが嫌いになってしまうきっかけになるのかもしれません。

そのような「意図のある練習」を過酷なものと思いこむ時間が長ければ長いほど、おそらくグリットは弱まってしまい、最後には諦めてしまいますが、おそらく「フロー」を経験したり、なんらかの達成感を感じたりすれば、グリットが維持され、「意図のある練習」を継続できるのかもしれません。

「フロー」とは、自分がやっていることに完全に集中し、「まるで身体が勝手に動いている」ような感覚を持ち、その過程において成功している心の状態をいいます。心理学者、ミハイ・チクセントミハイの研究が有名です(チクセントミハイ博士、昨年2021年10月20日に惜しまれつつお亡くなりになりました)。スポーツの世界で、とてつもなく調子の良い状態をよく「ゾーンに入った」ということがありますが、まさにそのような状態が「フロー」なのかもしれません。

あるフィギュアスケートの選手は、フロー状態について、「いつものプログラムを滑っていた時でした。なにをやっても上手くいって手ごたえを感じました。とにかく波に乗って勢いが止まらないんです。ああ、最高だ!ずっとこのままでいたい!と思ってしまうくらい。頭で考えなくても体が勝手に動いているような感じなんです。

この選手のような「フロー」に入ってみたいと思ってしまうくらい最高の瞬間ですが、誰しもこのような「フロー」に入った経験があるのではないでしょうか?

エリクソンは、グリットを高める「意図のある練習」について、その人にとって過酷でつらいものと断じていますが、チクセントミハイは、それと異なる見解を持っています。

「練習は非常に単調で、つらく感じることが多い。だがそのような場合が多くても、練習が必ずしもつらいものと決まっているものではない。非常な努力を要するにしても、これは努力する価値のあることで、頑張ればきっと習得できる。それに学んだことを実践するのは、自分という人間を表現することにもなり、願望の実現にもつながる。そう思えばつらくはないはずだ。」

つまり、チクセントミハイは、フローに入れば、「意図のある練習」もつらくなく、努力も苦にならないということなのです。

ということは、「フロー」に入る時間が長いほど、「意図のある練習」の期間に「フロー」に入る頻度が高いほど、「意図のある練習」を継続でき、かつグリットも高くなると言えます。

「フロー」に入る「意図のある練習」をする方法

フローとグリットは、強い結びつきがあります。実際にグリットの強い人は、普通の人よりも「意図のある練習」を長く行い、「フロー」に入る回数も多いようです。また、グリットの強い人は、「意図のある練習」をつらいと感じながらも同時に「楽しい」と感じる場合が多いようです。

では、グリットを高めるのに効果の発揮する「フロー」、「意図のある練習」も「楽しい」と感じるのに必要な「フロー」、この状態になるにはどのような方法があるのでしょうか。

チクセントミハイは、論文の中で、「フロー」状態の構成要素として6つの構成要素を記していますが、その構成要素がそろっているからといって、必ずしも「フロー」に入るわけではありません。

グリットの高い人の「意図のある練習」の方法を研究した結果、「意図のある練習」の間、「フロー」に入るには、次の4つの基本的な要件があることがわかりました。これらは、チクセントミハイが唱えた「フロー」の構成要素とほぼ一致しています。

「フロー」に入る4つの基本的要件は、

1.完全な集中(マインドフルな集中)と努力

2.明確に定義されたストレッチ目標

3.すみやかで有益なフィードバック

4.たゆまぬ反省と改良

以上のような4つの要件が満たすような練習をすれば、あるいは体験をすれば、「フロー」に入り、「意図のある練習」も辛さを感じず楽しく感じ、長く続けることができ、そしてグリットが高まると思います。

「フロー」に至る基本的要件を見ながら、北京オリンピックのロコソラーレのスイスとの試合を思い出しました。スイスとは、予選リーグ最終戦と戦い、ロコソラーレは負けましたが、決勝トーナメント進出を競っていた他のチームが負けたため、かろうじて予選突破しました。そして、準決勝で再びスイスと相まみえたのですが、そのときのロコソラーレの戦いぶりは、予選リーグ最終戦のそれとは見違えるほど変わり、素晴らしいパフォーマンスを発揮して勝利しました。

準決勝のスイス戦でのロコソラーレは、「フロー」に入る4つの基本的要件を満たした状態だったと思います。ロコソラーレの4人は「フロー」に入った状態で試合を進め、ショットの成功率も極めて高く、だからこそ勝利したのではないかと思うのです。

スキーをする女の子

「3つのよいことノート グリットup」では、「フロー」に至る要件を自然に満たすように工夫し、「意図のある練習」を長く続けてグリットを高めるように意図して構成しています。

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次回のブログは、グリットを高める4ステップの3番目、「目的」について、記したいと思います。